家事調停事件の管轄は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所と定められています(家事事件手続法245条1項)。
これは、相手方の出頭を確保する必要があるからだと説明されています。話し合いを求める側が、相手側に出向くべきだ(それが公平だ)という考え方ですね。
もし、管轄違いの裁判所に調停を申し立てますと、原則として、管轄裁判所に事件を移送する裁判がなされます。
この決定を受けますと、結局、相手方の住所地を管轄する裁判所に出頭して調停を進めることになります。
この移送の裁判に対しては、不服申立(即時抗告)ができることになっているのですが(同法9条3項)、この不服申立は、裁判の告知を受けた日から1週間以内にしなければなりません(同法101条1項)。
審判に対する不服申立(即時抗告)の期間は2週間ですが、審判以外の裁判に対する不服申立(即時抗告)の期間は1週間ですので、注意が必要です。
移送の裁判は、審判以外の裁判(同法99条)ですので、1週間以内に即時抗告を申し立てなければなりません。
例えば、自庁処理を申し出たのに、移送決定が出された場合、即時抗告をするなら1週間以内です。
ただ、自庁処理を求めることがそもそも即時抗告の理由になるかどうかに関しては、解釈が分かれているようですので、これにも注意が必要です。
実際、移送の裁判に対して不服申立をするかどうかは、事案ごとに方針が分かれます。
管轄裁判所が遠い場所にあるときは、電話会議の方法で調停に参加することも考えて良いと思います。
不服申立によって手続に時間をかけるよりも、さっさと期日を入れてもらう方が良いこともありますね。