2015年6月に公職選挙法が改正され、選挙年齢が18歳以上の者に引き下げられました。
また、本年6月には民法が改正され、成人年齢が18歳に引き下げられることが決まりました。
こうした状況で、現在、国の法制審議会では少年法の適用年齢の引き下げが議論されています。
少年非行は増えているのでしょうか?
統計上、少年非行は近年減っています。
少年による重大な凶悪事件も減っています。
仮に、少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げたとした場合、多くの少年が少年法の適用対象から外れることになります。
少年法は非行を犯した少年の資質や成育環境を専門的な見地から調査し、教育的な働きかけによって更生を助けるものです。
こうした教育的な働きかけによってこれまでに更生した少年はたくさんいます。
少年非行にも重大なものから軽微なものまで様々です。
少年の家庭環境や貧困、経験の浅さに起因する軽微な非行が圧倒的に多くあります。
メディアで取り上げられる重大事件は一例に過ぎません。
また、重大な凶悪事件に関しては、現在でも刑罰が科せられます。
法律の適用年齢については、それぞれの法律の立法目的に照らした個別の検討が必要です。
公職選挙法の選挙年齢や民法の成人年齢と、少年法の適用年齢を連動させる必然性はありません。
現に、飲酒・喫煙や公営ギャンブルにおいては20歳以上の適用年齢が維持されています。
国法上の統一は必ずしも図られていません。
少年法の適用年齢を引き下げることによって、多くの少年が少年法の手続から外れることになり、現在行われている調査や教育的な働きかけを失うことになります。
適切な助言や支援を得られないまま犯罪を繰り返すことが懸念されます。
日弁連や全国の弁護士会は、少年法の適用年齢の引き下げに反対しています。
当会でも2015年8月に少年法の適用年齢の引き下げに反対する会長声明を発表しています。
今回、公職選挙法や民法の改正にともない、安易に少年法の適用年齢が引き下げられることがないよう、重ねて少年法の適用年齢の引き下げに反対する会長声明を発することとしました。