弁護士 駒井重忠Blog

弁護士法人 菜の花

鳥取県弁護士会会長に就任しました。

2018年度の鳥取県弁護士会会長に就任しました。

一年間、弁護士会の運営に携わってまいります。

 

今年以降はいよいよ改憲論議が本格的になりそうです。

オリンピックムードに乗り、「新しい日本」「美しい日本」のイメージで憲法を改正しようという動きが政府与党を中心に活発化しそうです。

 

弁護士は、法の専門職として、市民の皆様に憲法の目的と意義をわかりやすく伝えていかなければなりません。

そして、憲法の目的や意義を理解せずにムードやイメージで憲法を変えることがどれほど危険なことかを理解していただかなければなりません。

義務教育過程でなにゆえか十分に教えられていない憲法の目的や意義を伝えていかなければなりません。

 

憲法の目的は立法も含めた国家権力の行使を制限することです。

人が権力を行使する場合、往々にして権力が濫用されます。

このことは歴史が証明していることです。

昨今の報道をみましても、そのことは十分におわかりになるだろうと思います。

人の支配は過ちを犯すという歴史的な反省の元に、憲法が生まれました。

憲法は国家権力を行使する人を法で縛るためにあります。

国家権力の濫用を防ぐために国家権力を法で縛ることを「法の支配」といいます。

 

昨今の改憲論議が真に誰のためのものなのかに注意を払わなければなりません。

憲法は国民一人一人が施政者に対して課す法ですから、まちがっても施政者から与えられるようなことがあってはなりません。

施政者から与えられる憲法は施政者にとって扱いやすい憲法となりえます。

施政者から与えられた憲法を再び変えるには、もう一度、施政者と対決しなければなりません。

そのためには多くの苦しみを味わわなければならないことを国民一人一人が理解しておくことが肝要だと思います。

 

義務教育課程において、私たち国民は憲法の目的や意義をほとんど教わっていません。

三権分立や憲法の三原則を知らない人は少ないと思いますが、これらを定める憲法がどうして存在するのかを理解している人もまた少ないと思います。

義務教育課程において国民一人一人が憲法の目的や意義をきちんと教わっていないことには、もしかすると何かの理由があるのかもしれませんが、その理由を追及することよりも、その理由に感づくことがいまは先決かもしれません。

 

一年間の任期になりますが、鳥取県弁護士会の会務に専念してまいりますので、温かいご理解とご支援をたまわりますよう、お願い申し上げます。