このまえ、自宅に一冊の本が届きました。
「日本国憲法と共に生きる~「真理と平和」を求めて~」
母校、一橋大学の恩師、杉原泰雄先生からです。
先生は、この書籍を届けることを事前におっしゃいませんでした。
包装をひらき、本の表題と著者を見て、
あっ
と、思いました。
「謹呈 著者」
そう書かれた、しおりが挟み込まれていました。
その瞬間、衝撃が走りました。
何重にも包んで紐で縛って閉ざそうとしていたものに亀裂が走りました。
心がぐらぐらと揺れるのを感じました。
私は、いまの日本の憲法をめぐる議論状況にあきらめを感じていました。
憲法を学ぼうともしない人たちが憲法をつくろうとしている状況に。
匿名の揶揄と毛嫌いと揚げ足とりが蔓延する議論状況に。
もはや、語ることもない。
好きなようにすればいい。
そう、思っていました。
「知っている人が、知らない人に伝える責任があるんじゃない?」
と言われても、
「知ろうともしない人間に、なにを伝えることがあるんだよ。」
「知ろうともしない責任は、知ろうともしない者がとればいい。」
そう言って、臆して語らずを正当化しようとしていました。
しかし、先生は、まだ戦っておられる。
ペンをもって。
職業と人生をかけて、責任をとろうとしている。
この本は、先生の職業と人生をかけた本だと思います。
私は、先生の最後のゼミ生として、
弁護士として、
あきらめてしまってはいけないように思いました。
そのために、なにをどうべきか、
たいしたことはできないかもしれませんが、
考え、実行しなければなりません。