日弁連法曹人口政策会議に出席しました。
東京は、秋らしく、涼しい一日でした。
会議では、法曹の養成に関するフォーラムでの議論状況について報告がありました。
法曹の養成に関するフォーラムは、政府が開いている有識者会議です。
構成員の圧倒的多数を「増員賛成派」が占めており、
メンバー構成の段階で、
ほぼ、最初に結論ありきの状態になっているとのこと。
(いくら有識者会議でも、できレースではいただけませんね。)
日弁連から派遣された委員は、孤軍奮闘状態だそうです。
弁護士増の矛盾を理解してもらうには、なかなか道のりがけわしいようです。
議論の中で、印象に残ったことがありました。
フォーラムのメンバーである消費生活専門相談員の方と、
日本労働組合総連合会の方が、そろって弁護士増を求めているそうです。
消費者問題と労働問題では、弁護士が足りていないと言われているのです。
この分野では、助けてくれる弁護士がいないという印象を持たれているのです。
たしかに、そのとおりだと思うところがあります。
しかし、
なぜ消費者問題と労働問題に弁護士が関わりにくいのか?
という問題意識があいまいになっています。
ここをあいまいに流してしまうとあやまった議論になります。
弁護士が関わりにくい理由として、
1 法律の不備 (とくに消費者問題について。助ける法律が十分でない。)
2 回収可能性の問題 (裁判で勝っても、お金を回収できない。執行法に不備がある。)
3 費用対効果の問題 (正義感と手弁当で事件解決に当たっているのが現状。法テラスの問題。)
があります。
たんに弁護士を増やせば、この3つの障害が解消されるのでしょうか?
私は、NOだと思います。
弁護士を増やしても、助ける法律がなければ、助けられません。
弁護士を増やしても、お金を回収できる法律がなければ、被害者を救えません。
弁護士を増やせば増やすほど、正義感や手弁当で事件解決に当たれなくなります。
法制度全体の問題として論じられずに、
単純に弁護士の数の問題になってしまっているのは大きなまちがいです。
フォーラムに対して、この問題に気づかせることが、日弁連の最初の課題でしょう。
3つ目の問題である、費用対効果については、
法テラスを巻き込む議論が必要だと感じます。
私は法テラス鳥取地方事務所の副所長を何年か務めてきましたが、
常々、代理援助の償還制度に矛盾があると感じてきました。
法テラスを利用して弁護士に依頼する場合、
法テラスは、いったん弁護士費用を立て替えますが、
立て替えた費用は、原則として、依頼者が全額を分割で法テラスに返さなければなりません。
(例外的に返さなくて良い人は生活保護受給者のみ、といって良いような運用状況です。)
消費者問題と労働問題には、この 「全額償還制度」 がネックになっているのです。
事案によっては、なにも全額償還でなくても良いはず。
お医者さんに診てもらっても、患者さんは3割負担ですよね。
なのに、弁護士に依頼したら、なぜ10割負担なのでしょう? そこが、問題です。
ところが、国や法テラスはこの問題に対して、真剣に取り組もうとしません。。。
さてさて、話は、ころりと変わりますが。
会議の後、帰り道で手相を見てもらいました。
手相を見てもらったのは、うまれて初めてです。
見てもらったのは右手でした。
年齢によって、左手と右手、見るほうが変わるそうです。
でも、けっこう言われることが当たっていました。
身なりや印象から判断するのかな?なんて思っていましたが。
占い師さん、いわく。
私は、現在、山登りでいえば、8合目付近、頂上までもう一息のところで、
霧がかかって前がみえない状態だそうです。
五里霧中だと・・・。
うーん、そうかもしれない・・・。
鳥取空港に着陸する手前で、
鳥取市街の町灯りが見えました。
帰ってきた、という安らぎもなく、
ただ、わびしさだけが募りました。