9月8日に新司法試験の合格者が発表されました。
今年の合格者は2063名。
昨年よりも11名少ないそうです。
合格率は昨年よりも1.9ポイント下がる、23.5%でした。
合格率のトップは、一橋大学の58%だとか。
母校が健闘しているのは、たいへんうれしいことです。
しかし、2010年ころに司法試験合格者を3000人にするという、
政府の政策目標には達していません。
合格率の低下と、合格後の就職難、
ロースクールの高額な学費の問題もあって、
ロースクールへの入学志願者は急激に減っているようです。
つまり、
日本で法律家を志す人が急激に減っています。
さて、そういったなかで、
今日は、日弁連の法曹人口政策会議に出席しました。
法曹人口問題について議論検討する日弁連の委員会ですが、
私は昨年から委員として参加しています。
今回は、政府が行っている「法曹の養成に関するフォーラム」において、
法曹人口問題について日弁連がどのような立場で議論していくのかを討議し、
委員会としての要望意見書をとりまとめました。
法曹人口の問題は、なかなか難しい問題で、
弁護士の中にもいろいろな考え方をもつ人がいます。
まだまだ少ないという方もいれば、
現状では余っているという方もいます。
ただ、現在、直面している問題として、
司法試験合格者の多くが就職できない状況があります。
多額の借金を背負ってロースクールに通い、
一生懸命勉強してやっと合格したかと思えば、失業・・・
というのでは、悲しい限りです。
法律家になりたいという人が減るのも無理ないかもしれません。
合格者の多くが就職できない理由として、一つは、
裁判官と検察官の数がほとんど増えていないという問題があります。
裁判官と検察官の数は今のままで足りているから増やす必要はない、
というのが最高裁と法務省の見解のようです。
(結論しか聞こえてこないので、はなはだ疑問が残りますが・・・)
弁護士だけが急激に増えている結果、
もはや法律事務所ではすくいきれないほどに合格者が余っているわけです。
政府の政策というのは、
一度、動き始めると、なかなか修正が効かないという問題があります。
当初の見通しが甘いと、大きな矛盾を抱えたまま、手遅れになるまで進むことになる。
原発問題に共通するところがあるように感じます。
ところで、
法曹人口政策会議が終わった後、
司法研修所同期の友人(弁護士)と一緒に食事をしました。
彼は、すでに東京で独立開業し、
税理士登録もして、確実に顧問先を増やしています。
聞けば、弁護士という枠組みにとらわれず、
経営コンサルタントとしても活躍していて、かなり収入も安定しているようです。
今度、新しく事務所を移転するとか。
彼の意見は、
合格者は早急に3000人にすべきというものです。
そうでなければ、グローバルな動きに後れを取ってしまうと言います。
必要なのは自由化であって、
東京にはまだまだ無尽蔵にニーズがあると言っていました。
やり方次第というところでしょうか。
お隣の中国には、
政策あるところに対策あり。
という言葉があるそうです(人から聞きました。)。
政策というのはなかなか変えられないというあきらめなのか、
たくましい処世術なのか。
学ぶべきところがありそうです。