鳥取県弁護士会が主催する「子どもの権利条例に関する勉強会(第10回)」が開かれました。
鳥取県弁護士会では、子どもの権利委員会が中心となって、日本国が批准した国連「児童の権利に関する条約」を県内において具体化するため、鳥取県及び県内市町村において「子どもの権利に関する条例」の制定について関係各機関と勉強会を開き、立法の可能性を模索しています。
今回は、国連子どもの権利委員会が日本政府に対して勧告した第3次所見の内容に触れながら、これまでの勉強会の中間的まとめとして、「児童の権利に関する条約」を具体化するための条例を制定する必要性について意見交換を行いました。
国連子どもの権利委員会とは、「児童の権利に関する条約」第43条に基づき、この条約において約束された義務の実現を達成することについて、締約国(日本を含みます)によってなされた進歩を審査するために設置された国際機関です。条約44条に基づいて締約国が提出する条約の実施状況等に関する報告書を審査し、必要な措置を勧告するものです。
今回の勧告においても、国連子どもの権利委員会は、日本政府に対し、「早期に人権擁護法案を通過させ、国レベルで条約の実施を監視する独立の機構を設置し、同機構に子どもの権利の組織的侵害を調査する権限を与えること」を勧告しました。
国連が日本政府に勧告したのは、国レベルの第三者機関の設置ですが、同様のことは地方自治体においても当てはまることと考えられます。
なお、日本政府は、「児童の権利に関する条約」を批准していますので、条約において約束された義務を実現しなければならない立場にあります。
ですから、日本政府は、国連子どもの権利委員会の勧告を無視することなく、これを誠実に受け止めなければならないのです。価値観の押しつけであるとの議論は、少なくとも条約を締結した後の段階では、必ずしも有効な反論にはなり得ないでしょう。