谷間世代に対する国の救済措置を求める会長声明を出しました。
無給の修習専念義務を課された修習世代のことを「谷間世代」と呼んでいます。
裁判官、検察官、弁護士になるには司法試験合格後に司法修習を受けなければなりません。
司法修習では、将来の進路にかかわらず、法曹三者すべての実務を現場で学びます。
そして、修習修了試験に合格して初めてそれぞれのみちに進むことができます。
司法修習の実を挙げるために、法は司法修習生に修習専念義務と呼ばれる兼業禁止義務を課しています。
このため、司法修習生は原則として職業に就くことが許されません。
かつては、修習専念義務を課す一方で、国が司法修習生に給費を支給してその生活を保障していました。
しかし、こうした給費制は廃止され、平成23年11月以降の司法修習生は無給の修習専念義務が課されました。
法曹を目指す者は法科大学院等の学費の負担に加え、修習中の生活費まで国から借りることとなりました。
その結果、こうした経済的負担が一因となって、近年の法曹志願者の減少には歯止めがかかっていません。
こうした状況を受けて、国は、平成29年4月に司法修習生に対する修習給付金制度を創設しました。
しかし、この制度に基づく修習給付金の支給は改正後に採用された司法修習生に限られています。
改正前の司法修習生には支給がないため、以前の給費制と現在の給付制の狭間に置かれた「谷間世代」が生まれました。
谷間世代の人口は弁護士だけでも約9700人、裁判官や検察官を含めた総数は約1万1000人です。
法曹人口の約4分の1を占めると言われています。
谷間世代の約7割が国から生活費を借りており、一人あたりの平均貸与総額は約300万円です。
谷間世代もそれ以外の世代と同じ司法修習を受け、同様に法曹養成された人たちです。
現在、多くが司法を担う有為な人材として多方面で活動しています。
そこで、谷間世代に対する国の救済措置を求めることとしました。
現在、各地の弁護士会で同様の会長声明が出されています。
今年度の日弁連の定期総会でも同様の決議が採択される見通しです。