弁護士の喜田です。新年あけましておめでとうございます。ご相談、ご依頼くださる方のためになお一層精進する所存です。本年もどうぞよろしくお願いします。
早速ですが、本題です。
特殊詐欺被害からどのように身を守るかは重要な社会的テーマといえます。先日もある県で高齢者が1、8億円の特殊詐欺被害に遭ったとの報道がありました。弁護士の立場から、ここでいくつか方法を提示してみたいと思います。
①成年後見制度
②民法上の準委任契約としての財産管理契約+任意後見契約
③信託(民事信託or商事信託)
それぞれのメリット・デメリット
1 成年後見制度
(1)メリット
後見事務の内容として、財産管理のみならず、身上監護まで含む。
後見人の不正防止に対して制度的な裏付けがある(後見監督人によるチェック)。
(2)デメリット
事理弁識能力を欠く常況にあることが必要(民法7条)。言い換えると、判断能力に問題のない人は利用できない。
一旦利用を開始してしまうと、本人の判断能力の回復が認められた場合を除いて、死亡時まで事務を終了させることが出来ない。つまり、一定の窮屈さを伴う。
後見人の報酬が生じる。
2 財産管理契約+任意後見契約
(1)メリット
本人の意思で利用を開始することが出来る。
財産管理契約の内容として、財産管理のみならず身上監護まで含めることが出来る。本人の意思で契約を終了させることが出来る。
(2)デメリット
財産管理契約について、受任者の報酬が発生する。
本人の判断能力が失われたことを受任者が認識したにもかかわらず、受任者が裁判所に対して任意後見監督人の選任の手続がとらず、受任者が権限を濫用して本人の財産を使い込むリスクがある。
3 信託
(1)メリット
ア 民事・商事共通
本人の意思で利用を開始することが出来る。
跡継ぎ遺贈型信託が可能。
イ 民事信託
民事信託の場合、受託者は対価を得ることが出来ない。言い換えると、委託者は対価を負担する必要が無い。
ウ 商事信託
受託者は信託銀行であるため、使い込みのリスクはない。
(2)デメリット
ア 民事信託
上記メリットの裏返しとして、受託者となることが予定されているのは、子などの親族。受託者が委託者から託された財産を使い込むリスク。
イ 商事信託
商事信託は、業すなわちビジネスとして行われるものであるため、信託の対価として報酬が発生する。
商事信託の内容は財産管理に限定される、身上監護は含まれない。
上記いずれの方法にも一長一短あるところですが、一番よくないのは何らの方法も講じないことだと思います。これをご覧になられた方には、一つの参考にしていただければと思います。