9月7日、佐渡裕さん率いる兵庫芸術文化センター管弦楽団の演奏を聞きに行きました。
演奏が素晴らしいものであったことはここではさておくとして、楽曲間の壇上の様子を見ていて特に気になったことを記してみたいと思います。
楽曲の合間に佐渡さんが、この楽団を今後どうしていきたいかなどについても語ってくださいました。そこでは、楽団としての認知度や格上げもさることながら、個々のメンバーの成長の場とできるように、ここからキャリアアップして巣立っていってくれるように、ご自分として可能な限りのことをしていきたいとおっしゃっていました。この説明を受けた時点では、一般論としては飲み込めても具体的な意味がつかめなかったというのが率直な印象でした。
しかし、そのような印象も良い意味ですぐに覆されました。この日は、楽団のレギュラーメンバーに加えて、ゲスト奏者として、何名かのプレイヤーが海外から来日していました。メインのブラームス交響曲第4番に向けて壇上でコントラバスが音出しをしているときのことでした。ここにもゲスト奏者が一人おり、ウィーン交響楽団やミュンヘンフィルといった華々しい経歴をお持ちのプレイヤーです。この方が、隣に楽団の若手レギュラーメンバーを座らせて時折笑みをたたえながら、実際に自分でひいて見せ、同じようにやってみるように促しているシーンがありました。促された側は終始目を輝かせながら、言われたように何とかしようと試みていました。その様子を見ているこちらまで、何だか幸せな気分になりました。
人間の成長のうえでは、普段にはない刺激を受けることも重要であると認識する機会となりました。