弁護士 今田慶太blog

弁護士法人 菜の花

波多野州平監督『それはとにかまぶしい』

R6.8.12 豊岡劇場(兵庫県豊岡市)

1927年(昭和2年)開業、その後閉館・休館を経ながらも2023年(令和5年)に営業を再開した映画館「豊劇」で波多野州平監督の『影の由来』(2017年)(27分)『それはとにかくまぶしい』(2023年)(18分)を観る。上映後、波多野監督によるトークセッションが行われた。

その途中、一緒に劇場に来ていた娘さんが「パパ」の所へ駆け寄る。会場が暖かい空気に包まれた。

『それはとにかくまぶしい』は、波多野監督が2020年の4月から毎日回していたカメラに納められた映像を再構築した作品である。

コロナ禍で他者との接触が制限された世界で、波多野監督は家族や自然に対してカメラを向ける。波多野監督が、山形国際ドキュメンタリー映画祭(2023)のインタビューの中で「(コロナで)死が身近にあったからこそ、そのコントラストとして自分の中で美しいものが見たいなって無性に思ったんですよね」と語っているとおり、この作品の中には溢れる光と暗がりが混合して存在している。

カメラが捉えたのは何でもない日常、過ぎ去っていく瞬間であり、もしもカメラを回していなければ誰の記憶にも残らない風景だったかもしれない。毎日同じようで、違う。人も自然も。その記録・記憶の断片が重なり合う。その編集の緊張感に私は少しクラクラした。

日常の再発見と再構築。なんだか凄い作品を見させてもらった。素人ながらに、楽しむ。