先日、絵画を頂く機会があった。
大変不思議な魅力をもった絵である。
抽象画であり、「何が書いてある?」と問うても、「?」であり、素人の私が鑑賞するにはレベルが高すぎる。
しかし、見ていて飽きない。
全ての「表現物」に崩れそうな不安定さがある一方、キャンバス全体には静寂の空気が流れており、動と静が渾然一体としている。
冷静と情熱が、交錯し、端正な規律がギリギリのところで保たれている。
空間の奥行きと、時の流れが複雑に交差する。
格好つけていると思われるかもしれないが、そんな風に感じる。
特段絵画に詳しい訳でもないが、芸術は嫌いではない。
学生時代は、小林秀雄に夢中になり、卒論のテーマとして『ゴッホの手紙』を選んだ。
天才の苦悩と、表現の根底にある爆発的な感情が、ゴッホの書簡にはある。
今でも、実家の本棚には小林秀雄の全集とともにみすず書房のファン・ゴッホ書簡全集が鎮座している。
たまには、読み返してみようか。
問題の絵画は、妻の美容室に飾ってある。
絵が届いてから、何だか店が忙しくなったようである。
「絵にパワーがあるに違いない。」
気になる方は、絵をこっそり見に行くついでに、カラーやパーマを注文して頂ければ、パワーのお裾分けが得られるかもしれない。
カットではいけない。
そう言っておかないと、妻に叱られる。
私事で恐縮だが、先日、挙式を挙げた。
私なりの結婚報告である。