弁護士 古田昌己BLOG

弁護士法人 菜の花

オンラインシンポジウム「若者参画政策のための条例」のパネルディスカッションのコーディネーターを務めました

令和6年5月24日,日本弁護士連合会主催の第10回法化社会における条例づくりオンラインシンポジウム「若者参画政策のための条例」が開催されました。

私は,このシンポジウムでパネルディスカッションのコーディネーターを務めました。シンポジウムは,午後1時から5時までという長丁場でしたが,地方議会議員,自治体職員や弁護士を中心に134名の方にご参加いただきました。

 

基調講演は,後に先駆的な事例と評価されることとなった愛知県新城市の若者参画政策を当時の同市長に提案された政策起業家の松下啓一氏がご登壇されました。松下氏は,パネルディスカッションのコメンテーターも担ってくださり,準備に不安を抱える私をよく励ましてくださいました。打合せの際に松下氏が「若者の問題は,大人の問題である。」とおっしゃられていたことがとても印象に残りました。

また,報告では,関東学院大学の津軽石昭彦教授より若者条例の制定状況についての報告を,愛知県新城市の職員の方より,同市の若者条例,若者議会条例の制定の経緯やその後の状況について事例報告をしていただきました。意外だったのは,これまで,子どもを守るべき客体と捉えた施策や法律・条例は多くあったにもかかわらず,若者参画を進める施策はなかったということです。

 

パネルディスカッションでは,東京都立大学の大杉覚教授,荒木清寛弁護士が加わり,若者参画政策とそれを実現する手段としての条例について議論いただきました。コーディネーターとしてシナリオにない質問もさせていただきましたが,ご登壇者の方は的確なコメントをしてくださりました。また,政策や条例制定において期待される弁護士の関わり方について議論しました。その中で,大杉教授が条例制定後の伴走支援において弁護士が関わることを期待するとコメントされたことは示唆に富んだものでした。若者参画政策の開始から10年目を迎える新城市の課題としては,若者議会を持続させる上で,参加者を確保することや新たな事業を見出すことが難しくなってきていることが挙げられていました。ご登壇された新城市職員の方が若者議会の出身者であるとのことでしたが,そのこと自体が政策の素晴らしい成果ではないかと感じました。

時間配分が難しく内心焦っていましたが,無事に予定した時間どおりにパネルディスカッションを終えることができました。

 

私の経験・能力不足によるところですが,テーマの検討,パネリストの先生方への直接のお声がけからはじめ,打合せ,シナリオの作成と開催までの準備はとても大変でした。もっとも,企画段階から開催まで一通り関わらせていただいて得られた経験は,準備の苦労を上回って余りあるものとなりました。

今回のシンポジウムを機に若者参画政策に関する書籍をいくつか購入したので,継続して関心を持ち注目していきたいと考えています。